少年法と少年の刑事事件まとめ【公認心理師試験対策】

公認心理試験対策として少年法と少年の刑事事件を覚える場合、その流れをまとめて理解していくと効果的です。

今回は少年法と少年の刑事事件を次のような視点からまとめます。

  • 少年法について
  • 家庭裁判所の調査
  • 家庭裁判所の審判
  • 保護処分
  • 少年院
  • 刑罰の緩和・不定期刑

それでは、少年法と少年の刑事事件ついて見ていきましょう。

少年法について

少年法の目的は、少年の健全な育成です。それは少年法第1条に明記されています。

第1条
この法律は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別な措置を講ずることを目的とする。

少年法

少年の刑事事件については、大人とは異なる特別な措置をすることになっています。そのための手続き等が少年法には書かれています。

少年法における「少年」の定義は、「20歳未満の者」(少年法第2条)となっています。

一般的に使われる「少年」とは意味が異なることに注意しましょう。

少年法における非行少年は、犯罪少年、触法少年、虞犯少年の3種類です。それぞれ、次のようになっています。

  • 犯罪少年:14歳以上20歳未満で罪を犯した少年
  • 触法少年:14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年
  • 虞犯少年:将来罪を犯す虞のある少年

詳細は、「少年法の目的と少年の定義、非行少年の分類」にまとめてあります。

家庭裁判所の調査

少年法では、すべての事件を家庭裁判所の送致する全件送致主義を取っています。家庭裁判所では、その事件について調査が行われます。

家庭裁判所の調査は、少年本人だけでなく、保護者や関係者、経歴、素質、環境などについても行われます。その調査では、医学・心理学・教育学・社会学などの知識を活用することになっています(少年法第9条)

家庭裁判所は家庭裁判所調査官に調査を命じますが、少年鑑別所が調査を担うこともあります。

少年鑑別所に収容できるのは原則2週間です。しかし、必要があれば、最長で8週間収容して鑑別を行うことができます。

家庭裁判所の調査については、「少年法における家庭裁判所の調査はどのように行われるのか?」にまとめてあります。

家庭裁判所の審判

送致された少年事件を調査した家庭裁判所は、その事件に関する決定を行います。その決定は4種類あります。

  • 児童福祉法の措置(少年法第18条)
  • 審判を開始しない旨の決定(少年法第19条)
  • 検察官への送致(少年法第20条)
  • 審判開始の決定(少年法第21条)

審判開始の決定がなされた少年事件については、非公開で審判が行われます。

審判の結果は、保護処分にならない場合(不処分)と、保護処分になる場合の2種類に分かれます。

保護処分には3種類あります。

  • 保護観察所の保護観察(少年法第24条第1項第1号)
  • 児童自立支援施設又は児童養護施設への送致(少年法第24条第1項第2号)
  • 少年院への送致(少年法第24条第1項第3号)

家庭裁判所の審判については、「少年法における家庭裁判所の審判とその決定」にまとめてあります。

保護処分

家庭裁判所の審判の決定である保護処分は、保護観察所の保護観察、児童自立支援施設又は児童養護施設への送致、少年院への送致の3種類です。

保護観察所の保護観察では、保護処分の趣旨を踏まえ、少年の健全な育成を期して実施されます(保護観察法第49条第2項)

児童自立支援施設又は児童養護施設への送致では、入所・通所での自立支援、あるいは入所での養護が行われます。

少年院への送致では、改善更生・社会復帰を目的として、矯正教育や健全な育成に資する処遇が行われます(少年院法第1条)

少年院

少年院では、改善更生・社会復帰を目的とした矯正教育・処遇が行われます。

そのような少年院は4種類に分かれています。

  • 第1種:心身に著しい障害がない概ね12歳以上23歳未満
  • 第2種:心身に著しい障害がない犯罪傾向が進んだ概ね16歳以上23歳未満
  • 第3種:心身に著しい障害がある概ね12歳以上26歳未満
  • 第4種:少年院における刑の執行

少年での矯正教育は5種類です。

  • 生活指導(少年院法第24条)
  • 職業指導(少年院法第25条)
  • 教科指導(少年院法第26条、第27条)
  • 体育指導(少年院法第28条)
  • 特別活動指導(少年院法第29条)

少年院における社会復帰支援は4つに分けられます。

  • 住居・宿泊場所を得ること、そこに帰住することに対する支援
  • 医療・療養を受けることに対する支援
  • 修学・就業に対する支援
  • 社会生活をするために必要な支援

少年院については、「少年院の目的・種類・矯正教育・社会復帰支援」にまとめてあります。

刑罰の緩和・不定期刑

少年法では、少年の刑事事件に対する死刑と無期刑の緩和(第51条)、不定期刑(第52条)に関する規定があります。

死刑と無期刑の緩和は、罪を犯すときに18歳未満であった場合に適用される規定です。死刑と無期刑は次のように緩和されます。

  • 死刑:無期刑
  • 無期刑:10以上20年以下の懲役又は禁錮

不定期刑は、「懲役・禁錮〇年以上〇年以下」というように幅を持った刑のことです。

原則として、上限は15年、下限は10年となっています。

刑罰の緩和と不定期刑については、「少年の刑事事件と刑罰の緩和・不定期刑」にまとめてあります。