スクールカウンセラーの位置づけと学校教育法施行規則

スクールカウンセラーは教育分野で働く心理職として、一般にも広く知られるようになってきています。

そのスクールカウンセラーはどのように位置づけられているのでしょうか?

今回は、スクールカウンセラーとは何か、スクールカウンセラーの制度、スクールカウンセラーと学校教育法施行規則について説明します。

スクールカウンセラーとは?

スクールカウンセラーは学校におけるカウンセラーです。有斐閣の『心理学辞典』には「学校カウンセラー」として掲載されています。

学校において心理学的援助を行う者のうち、児童・生徒や保護者に対するガイダンスやカウンセリングあるいは教師に対するコンサルテーションを中心機能として果たす者のこと。(p.123)

『心理学辞典』有斐閣

この定義によると、スクールカウンセラーの中心機能は次の3つとなっています。

  • 児童生徒に対するガイダンスやカウンセリング
  • 保護者に対するガイダンスやカウンセリング
  • 教師に対するコンサルテーション

実際の業務内容については、スクールカウンセラーを配置している自治体等によって異なっています。

スクールカウンセラー等活用事業

スクールカウンセラーは文部科学省のスクールカウンセラー等活用事業で配置が進められています。

スクールカウンセラー等活用事業の趣旨

スクールカウンセラー等活用事業実施要領」には、事業の趣旨について次のように書かれています。

公立の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校及び地方公共団体が設置する児童生徒の教育相談を受ける機関(以下「学校等」という。)に児童生徒の心理に関して高度に専門的な知識・経験を有するスクールカウンセラー又はスクールカウンセラーに準ずる者(以下「スクールカウンセラー等」という。)を配置するとともに、24時間体制の電話相談を実施し、教育相談体制を整備する。
また、被災した児童生徒等の心のケア、教職員・保護者等への助言・援助等を行うため、学校等(公立幼稚園を含む。)にスクールカウンセラー等を緊急配置する。

スクールカウンセラー等活用事業実施要領

スクールカウンセラー等活用事業は、教育相談体制を整備することを目的とした事業です。そのために、次の3つが行われています。

  • 公立学校にスクールカウンセラー(準ずる者含む)の配置
  • 24時間体制の電話相談
  • 緊急スクールカウンセラーの配置

スクールカウンセラーの選考

スクールカウンセラー等活用事業実施要領には、スクールカウンセラーの選考についても書かれています。

次の各号のいずれかに該当する者から、実績も踏まえ、都道府県又は指定都市が選考し、スクールカウンセラーとして認めた者とする。

  1. 公認心理師
  2. 公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定に係る臨床心理士
  3. 精神科医
  4. 児童生徒の心理に関して高度に専門的な知識及び経験を有し、学校教育法第1条に規定する大学の学長、副学長、学部長、教授、准教授、講師(常時勤務をする者に限る)又は助教の職にある者又はあった者
  5. 都道府県又は指定都市が上記の各者と同等以上の知識及び経験を有すると認めた者
スクールカウンセラー等活用事業実施要領

スクールカウンセラー等活用事業実施要領が2018年(平成30年)4月1日に改正され、公認心理師が追加されています。

国家資格である公認心理師ができたため、文部科学省としては公認心理師を優先しなければいけないということかもしれません。

学校教育法施行規則におけるスクールカウンセラーの位置づけ

公立学校のスクールカウンセラーは、スクールカウンセラー等活用事業として配置がされてきています。

法令等では、スクールカウンセラーはどのように位置づけられているのでしょうか?

スクールカウンセラーについては、学校教育法施行規則に書かれています。平成29年(2017年)4月1日の学校教育法施行規則の改正でスクールソーシャルワーカーとともにその職務が規定されました。

法令で初めてスクールカウンセラーという言葉が使われたそうです。

第65条の2
スクールカウンセラーは、小学校における児童の心理に関する支援に従事する。

学校教育法施行規則

中学校や義務教育学校では、「小学校」の部分を各学校に読み替えることになっています。

学校関係者でも学校教育法施行規則にスクールカウンセラーが明記されたことを知らない人もいると思います。スクールカウンセラーの中にも、知らない人がいるかもしれません。

スクールカウンセラーが学校教育法施行規則に明記されたこと、公認心理師ができたことによって、スクールカウンセラーの活躍が期待されます。