保健福祉領域における福祉施設の根拠法とその機能

保健福祉領域にはいくつかの福祉施設があります。

その福祉施設はどの法律を根拠にしていて、どのような機能を持っているのでしょうか?

今回は『公認心理師エッシェンシャルズ』に書かれている保健福祉領域における福祉施設を見ていきます。対象となるのは、次の通りです。

  • 保健所
  • 市町村保健センター
  • 社会福祉協議会

それでは、保健福祉領域の福祉施設を見ていきましょう。

保健所

保健所の根拠法、機能はどうなっているのでしょうか?

保健所の根拠法

根拠となる法律:地域保健法

保健所は地域保健法の第5条にその規定があります。

第5条
保健所は、都道府県、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市、同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市その他の政令で定める市又は特別区が、これを設置する。

地域保健法

保健所は、都道府県、指定都市、中核市、政令で定める市、特別区が設置することになっています。

総務省の「地方公共団体の区分」によると、指定都市、中核市は次のようになっています。

  • 指定都市:人口50万以上の市のうちから政令で指定
  • 中核市:人口20万以上の市の申出に基づき政令で指定

また、指定都市市長会では、指定都市について次のように説明されています。

指定都市とは、地方自治法で「政令で指定する人口50万以上の市」と規定されている都市のことです。
「政令指定都市」、「政令市」、「指定市」などといわれることもありますが、ここでは地方自治法にしたがって、「指定都市」という名称を使っています。

指定都市市長会

指定都市は、政令指定都市、政令市、指定市と呼ばれることもあり、これらはすべて同じ都市を指していることになります。

保健所の機能

保健所の機能にはいろいろあるので、まず地域保健法の条文を見てみましょう。

第六条
保健所は、次に掲げる事項につき、企画、調整、指導及びこれらに必要な事業を行う。

地域保健に関する思想の普及及び向上に関する事項

人口動態統計その他地域保健に係る統計に関する事項

栄養の改善及び食品衛生に関する事項

住宅、水道、下水道、廃棄物の処理、清掃その他の環境の衛生に関する事項

医事及び薬事に関する事項

保健師に関する事項

公共医療事業の向上及び増進に関する事項

母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事項

歯科保健に関する事項

精神保健に関する事項
十一
治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病により長期に療養を必要とする者の保健に関する事項
十二
エイズ、結核、性病、伝染病その他の疾病の予防に関する事項
十三
衛生上の試験及び検査に関する事項
十四
その他地域住民の健康の保持及び増進に関する事項

地域保健法

保健所がいろんなことをやっているのがわかります。まとめると、保健所は地域保健に関することを行う機能を持っていると言えるかもしれません。

市町村保健センター

市町村保健センターの根拠法、機能はどうなっているのでしょうか?

市町村保健センターの根拠法

根拠となる法律:地域保健法

市町村保健センターも保健所と同じく、地域保健法がその根拠となっています。

第18条
市町村は、市町村保健センターを設置することができる。

地域保健法

「設置することができる」とあるので、設置は義務ではないということです。市町村によっては市町村保健センターがないところもあるかもしれません。

市町村保健センターの機能

市町村保健センターの機能についても、地域保健法に書かれています。

第18条第2項
市町村保健センターは、住民に対し、健康相談、保健指導及び健康診査その他地域保健に関し必要な事業を行うことを目的とする施設とする。

地域保健法

市町村保健センターは、健康相談や保健指導、健康診査などをする福祉施設となっています。

また、『【ブループリント網羅】公認心理師必携テキスト』によると、この中で、市町村が主体となる業務もあるようです。

栄養の改善や母性および乳幼児ならびに老人の保健に関する事項などは市町村が主体(p.387)

『公認心理師必携テキスト』

保健所は広域で対応した方がいい地域保健に関することに関わっていて、地域密着の方がいいことについては市町村が主体となっているということでしょう。

社会福祉協議会

社会福祉協議会の根拠法、機能はどうなっているのでしょうか?

社会福祉協議会は市町村と都道府県に分かれているため、そのそれぞれについて見ていきます。

市町村社会福祉協議会の根拠法、機能

根拠となる法律:社会福祉法

市町村社会福祉協議会の根拠法は社会福祉法です。

第109条
市町村社会福祉協議会は、一又は同一都道府県内の二以上の市町村の区域内のおいて次に掲げる事業を行うことにより地域福祉の推進を図ることを目的とする団体であつて、その区域内における社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者が参加し、かつ、指定都市にあつてはその区域内における地区社会福祉協議会の過半数及び社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が、指定都市以外の市及び町村にあついてはその区域内における社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が参加する者とする。
第1号
社会福祉を目的とする事業の企画及び実施
第2号
社会福祉に関する活動への住民参加のための援助
第3号
社会福祉を目的とする事業に関する調査、普及、宣伝、連絡、調整及び助成
第4号
前三号に掲げる事業のほか、社会福祉を目的とする事業の健全な発達を図るために必要な事業

社会福祉法

市町村社会福祉協議会は、同じ都道府県内の1つ以上の市町村内において、地域福祉の推進を図ることを目的とした団体です。

市町村社会福祉協議会の機能は、社会福祉に関する事業・活動となっています。

都道府県社会福祉協議会の根拠法、機能

都道府県社会福祉協議会はどうなっているのでしょうか。

都道府県社会福祉協議会も社会福祉法を根拠としています。

第110条
都道府県社会福祉協議会は、都道府県の区域内において次に掲げる事業を行うことにより地域福祉の推進を図ることを目的とする団体であつて、その区域内における市町村社会福祉協議会の過半数及び社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が参加するものとする。
第1号
前条第一項各号に掲げる事業であつて各市町村を通ずる広域な見地から行うものが適切なもの
第2号
社会福祉を目的とする事業に従事する者の養成及び研修
第3号
社会福祉を目的とする事業の経営に関する指導及び助言
第4号
市町村社会福祉協議会の相互の連絡及び事業の調整

社会福祉法

都道府県社会福祉協議会は、市町村社会福祉協議会よりも広域で行った方が効果的なことを担当していると言えます。

まとめ

保健所

  • 根拠法:地域保健法
  • 機能:地域保健に関することを行う

市町村保健センター

  • 根拠法:地域保健法
  • 機能:健康相談や保健指導、健康診査、母性・乳幼児・老人保健などの地域保健に関することを行う

社会福祉協議会

  • 根拠法:社会福祉法
  • 機能:社会福祉関する事業・活動
  • 市町村社会福祉協議会と都道府県社会福祉協議会がある

4領域の福祉施設の根拠法と機能