公認心理師は公認心理師法で定められた国家資格です。その役割・業務も法律によって規定されています。公認心理師を目指す人は、公認心理師の定義と役割・業務を確認して、理解しておく必要があります。
また、公認心理師国家試験の試験対策としても重要なポイントとなるので、しっかりと覚えておくといいでしょう。
それでは、公認心理師の定義と役割・業務を見ていきましょう。
公認心理師法の目的
公認心理師は公認心理師法で定められた国家資格であるため、公認心理師法の目的から確認していきましょう。
公認心理師法の目的は、公認心理師法第1条に書かれています。
第1条
公認心理師法
この法律は、公認心理師の資格を定めて、その業務の適正を図り、もって国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とする。
これが公認心理師法の目的です。公認心理師は「国民の心の健康の保持増進に寄与すること」を期待された国家資格ということになります。
「心の」というところがポイントで、「身体の健康」は公認心理師法の目的としては入っていません。
この目的は、公認心理師の役割・業務にも関係してきます。
公認心理師の定義
心理学は仮説構成概念を扱っているので、その操作的定義が重要になります。公認心理師を目指す人は心理学を専門としているため、「定義」を確認することの重要性を理解していると思います。
公認心理師の定義は、公認心理師法第2条に書かれています。
第2条
公認心理師法
この法律において「公認心理師」とは、第28条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。
「登録を受け」という表現から、登録制の資格であることがわかります。公認心理師国家試験に合格しただけでは公認心理師にはなれないということです。
「公認心理師の名称を用いて」というのは、名称独占資格であることを示しています。
「心理学に関する専門的知識及び技術をもって」というところから、心理学をベースにした国家資格であることがわかります。公認心理師の養成課程に基礎心理学がしっかり入っているのは、ここと関係があるのでしょう。
第2条の「次に掲げる行為」が公認心理師の役割・業務となります。
公認心理師の役割・業務
公認心理師には4つの業務があります。
第2条第1項
公認心理師法
心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。
これはアセスメントに相当するものです。アセスメントなしでは何もできないので、普段から当たり前のようにやっていることですが、法律でもそれが明確にされています。
このアセスメントは心理学に基づいたアセスメントのことです。行動観察や心理検査などを用いて、多角的にアセスメントを行うことが重要になります。
医療が必要になるケースもあるので、精神医学に関する知識も重要です。身体疾患による精神症状もあり、身体疾患に関する知識も求められます。
第2条第2項
公認心理師法
心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
これはクライエントに対する直接的な支援ということです。心理カウンセリングや心理療法、スキルトレーニングなどを指します。
ただ支援すればいいというわけではなく、支援方法はアセスメントに基づいて決定される必要があります。
第2条第3項
公認心理師法
心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
公認心理師の役割・業務は、クライエントの支援だけではありません。クライエントの関係者に対する支援も含まれています。
具体的には、家族等の相談やコンサルテーションなどということになるでしょう。
心理職はクライエントに直接支援することしかできないわけではないので、クライエントの関係者を介して、クライエントの支援をするという形態も存在します。
第2条第4項
公認心理師法
心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。
公認心理師は「国民の心の健康の保持増進に寄与すること」を目的とした国家資格であるため、心の健康に関する知識を普及する役割も担うことになります。
一般向けのセミナーや書籍などで心の健康に関する知識を伝えるということなどが、これに含まれます。
まとめ
- 登録制
- 名称独占資格
- 心理学に専門的知識と技術を持っている
- アセスメント
- クライエントの支援
- クライエントの関係者の支援
- 心の健康に関する知識の普及
公認心理師の法的義務と罰則・行政処分については別の記事にまとめてあります。