公認心理師の法的義務と罰則・行政処分

公認心理師は、公認心理師法で定められた国家資格であるため、法的な義務も課されています。そして、罰則規定もあります。登録取り消しや資格の使用停止などの行政処分もあります。

試験対策としても法的義務と罰則・行政処分は重要ですが、実際に公認心理師として活動する上で知らなければいけないことでもあります。

公認心理師の法的義務と罰則・行政処分は、「公認心理師の定義と役割・業務」と合わせて重要なところなので、しっかりと確認する必要があります。

それでは、公認心理師の法的義務について見ていきましょう。

公認心理師の法的義務

公認心理師の法的義務は、信用失墜行為の禁止、秘密保持義務、連携等、資質向上の責務です。試験対策だけでなく、公認心理師になってからも重要なところなので、しっかり覚えておきましょう。

信用失墜行為の禁止(第40条)

信用失墜行為の禁止は公認心理師法第40条に書かれています。

第40条
公認心理師は、公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならない。

公認心理師法

国家資格は国民の信用があるからこそ成り立つものでもあります。その信用を傷つけるような行為が禁止されていることは当然と言えます。

公認心理師という名称を用いているときだけでなく、プライベートでの言動でも信用を傷つける可能性はあります。そのため、プライベートでも気をつける必要があるでしょう。

秘密保持義務(第41条)

秘密保持義務は公認心理師法第41条には次のように書かれています。

第41条
公認心理師は、正当な理由がなく、その業務に関して知りえた人の秘密を漏らしてはならない。公認心理師でなくなった後においても、同様とする。

公認心理師法

秘密保持義務より守秘義務の方がよく使われると思います。公認心理師法には「秘密保持義務」として書かれていますが、同じ意味だと考えていいでしょう。

重要なポイントは、秘密保持義務が公認心理師である間だけでなく、公認心理師でなくなった後にも適用されることです。

秘密保持義務に関しては、どのテキストにもタラソフ事件について書かれています。命に関わる場合は守秘義務が解除されて、通報義務が生じるというものです。

また、公認心理師の法的義務の1つである「連携等」との関係も問題になります。連携するためには守秘義務を解除する必要があります。チームで関わる場合には集団守秘義務という枠で守秘義務が課されることになるのかもしれません。

連携等(第42条)

連携等も公認心理師の法的義務として位置づけられています。連携等については公認心理師法第42条にあり、第2項には医師の指示について書かれています。

連携の義務(第42条第1項)

公認心理師に課せられている他職種との連携については、公認心理師法第42条第1項に書かれています。

第42条
公認心理師は、その業務を行うに当たっては、その担当する者に対し、保健医療、福祉、教育等が密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない。

公認心理師法

チーム医療やチーム学校など、全体的な方向として、チームとして関わっていくことになっています。これは1人の人に対して多職種が関わる必要があるので当然のことなのでしょう。

公認心理師は様々な分野で活動することが期待されているので、他職種との連携は必須と言えます。ただし、秘密保持義務との関係を気をつける必要があります。

公認心理師の多職種連携

医師の指示(第42条第2項)

公認心理師法第42条には第2項もあります。そこには主治医との関係について書かれています。

第42条第2項
公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない。

公認心理師法

公認心理師には、支援に関係する主治医がいる場合には指示を受ける義務があるということです。病院等では主治医がいて、その指示に従うことになるのであまり問題にならないかもしれませんが、それ以外の分野では運用上の問題が出てくるかもしれません。

医師の指示については、「公認心理師法第 42 条第2項に係る主治の医師の指示に関する運用基準について」という通知が出されています。

運用基準によると、主治医がいると推察される場合には主治医の有無を確認しなければならないとされています。そして、支援に関係する主治医がいることがわかったら、その主治医から指示を受けなければなりません。

クライエントが主治医の関与を望まない場合は、必要性を説明することとされています。

医師の指示については「公認心理師法第42条第2項に係る主治の医師の指示に関する運用基準」にまとめてあります。

資質向上の責務(第43条)

資質向上の責務は公認心理師法第43条には次のように書かれています。

第43条
公認心理師は、国民の心の健康を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、第2条各号に掲げる行為に関する知識及び技能の向上に努めなければならない。

公認心理師法

心理学は発展を続ける学問領域で、支援方法なども改善されていきます。今は効果的だとされていても、将来的にそれが否定される可能性もあります。

知識と技能をアップデートしていくことは重要なことです。

また、公認心理師になったとしても心理職として完璧な存在になったわけではありません。資格は最低限の質の保証なので、常にスキルアップのために自己研鑽を続ける必要があります。

罰則

公認心理師法には罰則規定も設けられています。

第46条
第41条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
第2項
前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

公認心理師法

公認心理師法第41条には秘密保持義務について書かれています。公認心理師の法的義務に関しては、秘密保持義務だけに罰則規定が存在します。

罰則は1年以下の懲役又は30万円以下の罰金です。これは裁判によって決まります。

告訴がなければ公訴できないものを「親告罪」と呼ぶそうです。

法律上は告訴されなければ罰則規定が適用されることもありませんが、公認心理師は国民からの信用がとても重要な資格なので、罰則の有無にかかわらず気をつける必要があります。

行政処分

公認心理師法には、登録取り消しや資格の使用停止という行政処分の規定も設けられています。罰則規定ではありませんが、公認心理師として活動できなくなるため、とても厳しい処分と言えます。

行政処分については、公認心理師法第32条に書かれています。

第32条
文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を取り消さなければならない。
第1号
第三条各号(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至った場合
第2号虚偽又は不正の事実に基づいて登録を受けた場合

第2項
文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が第四十条、第四十一条又は第四十二条第二項の規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて公認心理師の名称及びその名称中における心理師という文字の使用の停止を命ずることができる。

公認心理師法

公認心理師の法的義務との関係での行政処分は、第40条の「信用失墜行為の禁止」、第41条の「秘密保持義務」、第42条第2項の「医師の指示」です。

法的義務で行政処分の規定がないのが第42条の「連携等」、第44条の「資質向上の責務」です。これらは、違反したかどうかの判断が難しいので、処分の対象から外れているのかもしれません。

行政処分は、「登録の取り消し」、「期間を定めての公認心理師・心理師の名称使用停止」です。名称の使用停止は無期限ではなく、必ず期限が定められます。

まとめ

公認心理師の法的義務

  • 信用失墜行為の禁止
  • 秘密保持義務
  • 連携等(医師の指示を含む)
  • 資質向上の責務

罰則の対象

  • 秘密保持義務

罰則の内容

  • 1年以下の懲役又は30万円以下の罰金

行政処分の対象

  • 信用失墜行為の禁止
  • 秘密保持義務
  • 医師の指示

行政処分の内容

  • 登録の取り消し
  • 期間を定めての公認心理師・心理師の名称使用停止

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